ある養蜂家の話🐝

今日のブログは【環境教育】と言うことで、ある養蜂家の話を掲載させて頂きます。

子供や孫の未来を守るためにとても大切なお話です。
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【オーガニック、自然農法は宗教?──でも僕は、ミツバチの声を聴きたい🐝】

「オーガニックなんて、宗教みたいなものでしょ?」
そんな言葉を耳にすることがあります。

でも、僕ら養蜂家にとって、それは信仰でも思想でもなく、“現実”です。

つい先日、山口のメロン農家さんがJAを通じて山口市の養蜂家へ、
「受粉用ミツバチを貸してほしい」と依頼されました。
けれど、その養蜂家さんは昨年からミツバチを失っていて対応できず、お断りされました。

「もう花が咲き始めているのに、いつまで経ってもミツバチが来ない!どうなっとるんだ!」
と焦ったメロン農家さんが怒り出し、最終的に、山口県養蜂組合長の僕たちときつ養蜂園に話が回ってきました。

結果、僕たちが無償でミツバチを提供することになりました。
もちろん、正直言って赤字です。
昨年は熊による被害も大きく、今もずっと経営が苦しい状況が続いています。

「お人好しすぎる」「経営センスがない」
「そんな儲からない事業をやるなんてバカだ」
そんな言葉をかけられることもあります。
確かにその通りです。

でも、それでも僕は、僕らの役割として、やらなければならないと思っています。

昨年は全国各地を回り、講演でも伝えてきました。

「今年は、戦後最悪──いや、地球史上最悪の“ミツバチ危機”になる」と。

その通りになりました。
昨年から、僕ら以外にも全国の日本の農業を支えてきた大規模なプロ養蜂家の方々が大量にミツバチがいなくなっていて、
もうマジで日本の農業はヤバいぞ、と農水省にも声をあげてきました。

この影響で、
昨年11月にはまずイチゴ農家さんから悲鳴が上がり、いまのこの時期から
メロン、スイカ、ナシ、リンゴ、そしてタマネギ種子など、
ミツバチの受粉を必要とする多くの作物の現場が次々と困難に直面しています。

僕らの実態としても、昨秋、山口県内のかなり多くのイチゴ農家さんからの依頼を、僕らはやむ無くお断りしました。

「ミツバチが本当に足りていない」と何度伝えても、理解されないもどかしさ。

先月4月に行われたJA山口での農薬散布会議でも、JAと、農薬散布業者さんへ、僕たちは必死に声を上げました。

でも返ってきたのは
「また時津が、養蜂組合がうるさいことを言ってる」という冷めた空気だけ。
そして今年も、何も変わらず農薬は無人ヘリやドローンで大量に散布されることになりました。

その農薬が、地球の命を支えてきたミツバチたちを苦しめ、命を奪っていることを、僕らは直面して知っています。

もちろん、「農薬は人体には影響がない」「効率よく生産するには農薬が必要だ」という意見にも一理あります。
そこは、僕は否定はしていません。
ただ、それは本当には持続可能ではない、目先の合理性だけの視点だなと思っております。

3年、5年では見えないかもしれない影響が、
10年後、20年後、そして子や孫の世代にどう表れるか──
いまの科学では、まだ答えが出ていません。

証明されていないからといって、見ないふりをしていい問題ではない。
だからこそ、
この“見えないリスク”と向き合う姿勢が、今、必要なのだと思います。

何度も言いますが、
農薬や化学肥料による大量生産を否定するつもりはありません。
僕も出張先ではどうしても外食をし、安価な食に助けられていることもあります。

でも、合理性だけを追い求めた先に待っている
“静かな崩壊”に、
ちゃんと目を向けるべきだと思うのです🌏

西洋ミツバチは、今の農業に欠かせない存在です。
その命を犠牲にして人類の食を支え続けることに、
どこか無理があるとは思いませんか?

ミツバチは、1億年以上前の被子植物が誕生したときから、この地球に同時に誕生し、
あらゆる地球の命の循環を支えてきました🌏🐝
それが、たったここ数十年の人間の都合で、
いま絶滅の危機にある──
この現実を知ってほしいのです。

だから僕は、人体への影響は云々とかの議論よりも、
人類と地球との調和を優先したい。
そして、農薬を使わないという選択を貫くと決めています。

農薬を使わずとも、ちゃんとした技術により農業はできます。
僕たちはそれを証明するために、
養蜂場の周囲の広大な農園で、
お米、果樹、野菜をすべて無農薬・無化学肥料、除草剤不使用で、かなりの量を生産しています。
養蜂だけでもとても忙しいですが、他の作物生産もすごい量をほんとに気合いで、志高い社員たちと、やり続けています。
これはすべて、ミツバチたちのためにやっていることです。
それが、人間にも、地球にも良い活動だと信じているからです🌏

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日々当たり前の様にスーパーなどで食べ物を購入出来る今の時代が、過去のものにならない様、私たちに出来る取り組みは、極力農薬を使わない野菜や米などを購入し、心ある農家さんを応援することかと思っています。