思えば、思わるる
こちらの指示をなかなか聞けない生徒のA君がいました。
やりましょうと言うとやらない、やってはいけないと言うとやる。
単調な学習にへきへきとして抵抗していることは分かっていたので、なにに興味があるのかを探していました。
いつも送迎は最後に送ります。
ある時二人だけになった車内で将来どんな仕事がしたいのかを聞いてみました。
その時A君は、はっきりと
「救急救命士になりたい。そのために車に乗るたび道を一生懸命覚えているんだ」
と応えました。
「命が助かるか助からないか1分1秒が重要だから正確に道を知っておかなければならないんだ」
とサラリと話してくれたのです。
ここからA君は一気に心を開いてくれました。
3番目の生徒を降ろしてからA君の家まで距離があります。
彼はどうすれば早くたどり着くことが出来るのかを家族をはじめ周りの人にいっぱい聞いて勉強しているんだと思います。
新しい道のチャレンジが始まりました。
ある時は信号が少ない道の選択、またある時は交通量が少ない道の選択といつも道のことで盛り上がります。
そして嬉しいことは、A君を降ろした後、私の乗った車がいなくなるまで見届けてくれるのです。
明確な目的意識が目標に変わり、将来を描けるようになっていく。
今後も、そのような生徒の一助になることが出来れば素晴らしいことだと思います。